ワードプレス人気11テーマ比較 本当にSEOに強い構造なのはどれか?
日本で人気のテーマ11個(無料3、有料8)について、SEOに強い構造比較をしてみました。
今回の比較評価の結果、過去に十分SEOでも実績がある、と言われているSEO対応済、というテーマでも、実は必ずしもSEOに強い構造をとっていないことがわかりました。今後のテーマの選定のために参考にしていただければと思います。
SEOに強い構造とは
SEO対応済というテーマは、例えばGoogleが推奨するモバイルファーストの完全レスポンシブ対応、だったり、ページごとのメタディスクリプションやnoindex設定などが細かくできるSEOに便利な設定ができたりします。
すなわち、デザイン面(レシポンシブ)や機能面(SEOに便利な設定)ではSEO対応済、ということですね。
でも、レシポンシブ対応しているのはもはや今どきのテーマでは常識ですし、SEOに便利な設定というのも、有料テーマならほとんどのものが対応しています。もし対応していなければ、All in One SEO Packなどのプラグインを使えばいいだけです。
でもSEOに強い構造というのは、まさにページの内容を記述するHTMLやCSS・Javascriptなどのコーディングの設計段階から決まっているものです。
コーディングに文法の間違いや無駄があれば、サイトの表示スピードに影響が出てきます。また、コーディング段階で構造化データを使ったマークアップがされていないと、Googleのロボットにコンテンツの各要素の意味が十分伝わらずindexもされないこととなります(indexとは、Googleのデータベースに登録されることです)。
このようなことを考慮すると、デザイン面や機能面でSEO対応済のテーマでも、必ずしもSEOに強い構造をとっているとは限らないことが予測されます。
詳細な説明は、次の記事で解説していますので興味があればご覧ください。
この記事の中で私は、SEOに強い構造化どうかの評価にはLIGHTHOUSE、Google構造化データテストツール、リッチレザルトテストを使うことを紹介しています。
そこで本記事では、日本で人気で実績のあるテーマを選抜して、上記の3つの評価方法でSEOに強い構造かどうかの比較をしてみることにしました。
比較したテーマと前提条件
比較したテーマは以下の10個です。
(無料テーマ)
- Cocoon
- Luxeritas
- Lightning
(有料テーマ)
- JIN
- SANGO
- AFFINGER5
- THE THOR
- STORK19
- SEAL1.5
- DIVER
- SWELL
比較条件
理想的な比較のためには、全く同じサーバーで同じコンテンツをテーマだけ変更して比較する必要があります。
しかしそのようなことは難しいので、今回は、各テーマの公式デモサイトのブログ一覧であるトップページを使用しました。デモサイトがない場合は、公式サイトのトップページや公式ブログサイトを使用しています。
デモサイトや公式サイトは、各テーマのアピールサイトですので、Performanceが落ちるような重い画像を使ったりなどの手抜きは少ないはずと考えました。
※比較評価は2020年10月24日実施しました。
テーマ比較結果
Cocoon
Cocconは無料ですが、”これで無料?”とびっくりするほど、デザイン面・機能面ともに優れた人気テーマです。
Simplicityという有名なテーマの後継テーマとして、ユーザーの声を反映させた力作ですので、ともかく使いやすくするための機能が盛りだくさんです。
また、いろいろなデザインスキンが多くのユーザーから提案されているのも魅力のひとつですね。
評価に使用したページは、公式サイトのトップページですが、ブログ一覧表がありません。ただし、情報量としては豊富な縦長のページとなっています。ページのファイルサイズは6.4MBです。

CocoonのLIGHTHOUSE評価結果

このページには、かなりのボリュームの情報があるためか、MobileのPerformanceが低くなっています。それ以外はまずまずでしょうか。
Cocoonの構造化データテストツール結果

7件のアイテムが見つかりました。エラーや警告はありません。
Cocoonのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルト対象のページとなっています。
Luxeritas
Luxeritasも無料ですが、Cocoonに負けないくらいの高機能なテーマです。
多機能ながら、高速でSEOに強いことをモットーに開発された力作です。デザインはユーザーがカスタムしやすいようにシンプルなつくりとなっていますので初心者にも使いやすい構成です。
私も初心者向けのブログ制作セミナーや書籍にて使用させてもらっています。また、このサイトもLuxeritasを使って制作しています。
デモサイトがないので、制作者るなさんの実際のブログページを評価に使用しました。ページのファイルサイズは509KBと軽めです。

LuxeritasのLIGHTHOUSE評価結果

若干MobileでPerformanceが落ちますが、全体的に高得点で非常によい結果となりました。
Luxeritasの構造化データテストツール結果

29件のアイテムが見つかりました。エラーや警告はありません。
Luxeritasのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルトの対象ページとなっています。
Lightning
Lightningは、ブログ向けというよりはビジネス向けの本格的なホームページ型のサイトをつくるのに人気な無料テーマです。
Lightningは、ワードプレスの公式テーマとしても認定されていますので、ワードプレスの管理画面内で入手可能です。私も本格的なホームページ型サイト制作のセミナー用に使用しています。
デモサイトは企業サイトを前提しており、ブログ一覧表がありません。したがって他のテーマよりコンテンツの情報量は少なくページのファイルサイズは461KBとなっています。

LightningのLIGHTHOUSE評価結果

MobileでPerformanceがやや落ちますが、その他の項目も80点はキープしており、おおむね良好な結果です。
Lightningの構造化データテストツール結果

構造化データは見つかりませんでした。
Lightningのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルト対象ページではありません。
JIN
JINはボタンひとつでデザインを変えられるなど、ブログ初心者にとって使いやすい有料テーマとして人気です。
かわいいデザインからメディア感のあるサイトなど、さまざまな雰囲気のサイトを簡単に制作することができます。また、多彩なデザインの見出しが準備されていたり、吹き出しやレシポンシブ対応した表など、エディター機能も豊富です。
評価には下記のデモサイトを使用しました。ページのファイルサイズは4.6MBです。

JINのLIGHTHOUSE評価結果

MobileのPerformanceが低いです。あとSEOが60点前後と意外に低いのが気になりましたので原因を見てみました。

SEOが低い理由として、メタディスクリプションの記載がない、画像のalt属性(代替テキスト)が設定されていない、たどれないリンクがある、indexできない、などのが記載されています。
これらは、実際に運用するサイトではきちんと設定できるものばかりですので、デモサイトならではの設定になっていると思われます。
実際、JINを使用したブログサイトをいくつか見てみましたが、SEOは80点台は出ていました。
JINの構造化データテストツール結果

71件のアイテムが見つかりました。ただし34件のエラーがあります。気になって、JINを使ったブログサイトを他に見てみましたが、やはりエラーが出ます。なかには警告が出ているものもありました。
ブログ運営者が構造化データをわざわざカスタマイズすることは考えにくいので、JINは構造化データによるマークアップはされているものの、一部Googleのサポート基準を満たしていないと考えられます。
JINのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルトの対象のページとなっています。
SANGO
SANGOは、下記の画像にもあるようなかわいくて居心地のよい雰囲気のサイトづくりができる、人気の有料テーマです。Google推奨のマテリアルデザインを採用しています。
2020年4月からレンタルサーバーのConoha WINGとのコラボを始めたので、これからワードプレスを始めてみたい、という方にとっては嬉しい限りですね。
評価にはSANGOの公式サイトのトップページを使用しました。ファイルサイズは603KBです。

SANGOのLIGHTHOUSE評価結果

MobileのPerformanceがやや少し低下するものの良好な範囲です。
SANGOの構造化データテストツール結果

構造化データは見つかりませんでした。
SANGOのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルト対象のページではありません。
AFFINGER5
AFFINGER5は、ブログサイトから本格的ホームページ型のサイトまで幅広く制作できる、ともかく高機能な有料テーマです。
非常に細かいところまでカスタマイズできるようになっていて、かっちりした緻密なサイトを制作したい人にはもってこいです。初心者からベテランまで満足のいくテーマですね。
評価には下記のデモサイトを使用しました。ファイルサイズは2.9MBです。

AFFINGERのLIGHTHOUSE評価結果

MobileでのPerformanceが低く、他の項目も全体にやや低い結果です。
AFFINGERの構造化データテストツール結果

構造化データは見つかりませんでした。
AFFINGERのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルト対象のページではありません。
THE THOR
おしゃれで高速なサイトを制作できる多機能な有料テーマです。
特に1stビューには静止画のほか背景動画やスライドショーなど、さまざまな演出ができるよう工夫されているので、ブログサイトから店舗やサロンなどさまざまな用途のサイトに使いやすいでしょう。
評価には下記のデモサイトを使用しました。ファイルサイズは664KBです。

THE THORのLIGHTHOUSE評価結果

PerformanceはMobileでやや落ちるものの良好な範囲です。Accesibilityが低いのがやや気にはなります。
THE THORの構造化データテストツール結果

構造化データは見つかりませんでした。
THE THORのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルト対象ページではありません。
STORK19
STORKは、日本ではブログ用テーマとしてお手本とされるほど人気の有料テーマとして有名です。STORK19は、その旧STORKを最新の技術を使って2019年にリニューアルされたものです。
新しくなりましたが、そのデザインは人気だった従来の旧STORKを踏襲したものとなっていて、下記のようにさすがの雰囲気をかもしだしています。
評価にはSTORK19の公式サイトを使用しました。ファイルサイズは1.1MBです。

STORK19のLIGHTHOUSE評価結果

PerformanceはMobileでやや低下します。その他はまずまずといったところでしょうか。
STORK19の構造化データテストツール結果

構造化データが1件見つかりました。エラーや警告はありません。
STORK19のリッチレザルトテスト結果

リッチレザルトの対象ページです。
SEAL1.5
人気テーマ旧SEALをリニューアルして、機能もスピードも充実した有料テーマです。
デザイン面だけでなく、ブログサイトからビジネス用までWebマーケティングに注力した機能が充実しています。
評価には公式サイトのトップページを使用しました。ファイルサイズは4.4MBです。

SEAL1.5のLIGHTHOUSE評価結果

MobildeでのPerformanceが低下しています。他の項目もさほど高くない結果となりました。
SEAL1.5の構造化データテストツール結果

構造化データが1件見つかりました。
SEAL1.5のリッチレザルトテスト結果

ブロックされていて評価できませんでした。そこで、SEALを使用している他のブログページを確認するとリッチレザルトの対象ページとなりました。

DIVER
DIVERは、稼げるアフィリエイトサイト制作に特化した、高機能なテーマです。
実は私も複数のアフィリエイトサイトで使用しています。アフィリエイトに特化しているだけあって、広告への誘導がしやすいテーマです。
評価には公式サイトのトップページを使用しました。ファイルサイズは1stビューに動画を使っているため、8.8MBと重いです。

DIVERのLIGHTHOUSE評価結果

PCでのPerfomanceもさほど高くありませんが、Mobileでは大幅に低下しました。ファイルサイズが今回評価した中では最大であったことも原因かと思います。
DIVERの構造化データテストツール結果

4件の構造化データが見つかりました。
DIVERのリッチレザルトテスト結果

リッチレザルト対象ページではありません。構造化データがあっても、必ずしもリッチレザルト対象にはならないのですね。
SWELL
SWELLは比較的新しいテーマですが、最近人気の高機能なテーマです。1stビューも動画やピックアップバナーを設置できるなど、かっこいいデザインも魅力です。
新しいテーマだけあって、最新のブロックエディターへの対応が充実しています。SWELLを使ってからは、もうクラシックエディターには戻れない、という声もあるくらいです。
評価には、以下のデモサイトを使用しました。ファイルサイズは4.9MBです。

SWELLのLIGHTHOUSE評価結果

PerformanceはMobileでやや低下します。SEOの低いのが気になりましたが、リンクがたどれない、indexがブロックされている、などデモサイトならではの問題でした。

念のため、SWELLを使って運用している他のサイトでも確認しましたが、SEOの点数は90点台でしたので問題ないかと思います。
SWELLの構造化データテストツール結果

2件の構造化データが見つかりました。
SWELLのリッチレザルトテスト結果

評価がブロックされましたので、SWELLを使った別のサイトで確認したところリッチレザルト対象でした。

結果のまとめ
結果を表にまとめました。
テーマ | サイズ(MB) | Perfor-mance | Accesi-bility | Best Practice | SEO | 構造化データ | リッチレザルト | お勧め度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Cocoon | 6.4 | 89/46 | 84/84 | 86/79 | 100/98 | 〇 | 〇 | 〇 |
Luxeritas | 0.51 | 96/81 | 94/94 | 100/100 | 100/98 | 〇 | 〇 | ◎ |
Lightning | 0.46 | 95/80 | 81/81 | 93/86 | 100/100 | × | × | △ |
JIN | 4.6 | 95/34 | 72/72 | 93/93 | 60/56 | △ | 〇 | 〇 |
SANGO | 0.60 | 99/80 | 75/75 | 93/93 | 91/91 | × | × | △ |
AFFINGER5 | 2.9 | 83/45 | 61/66 | 79/71 | 82/83 | × | × | △ |
THE THOR | 0.66 | 98/78 | 69/69 | 86/86 | 91/92 | × | × | △ |
STORK19 | 1.1 | 95/69 | 81/94 | 93/86 | 83/89 | 〇 | 〇 | 〇 |
SEAL1.5 | 4.4 | 91/56 | 65/59 | 79/71 | 83/84 | 〇 | 〇 | 〇 |
DIVER | 8.8 | 74/19 | 79/79 | 86/79 | 92/92 | 〇 | × | △ |
SWELL | 4.9 | 92/75 | 83/85 | 86/86 | 67/68 | 〇 | 〇 | ◎ |
将来にわたってSEOに強い構造ということで、リッチレザルト対象であれば〇以上のお勧め度としています。本来はリッチレザルトに対応しているアイテムを細かく比較したいところですが、そももそも対応していないテーマが予想以上に多く、ラフな判定をしました。
そのうえでLIGHTHOUSEの数値をから、重いファイルサイズの割にPerformanceが高かったり、その他の数値の安定性やエラー・警告の有無を考慮して、特におすすめのテーマに二重丸をつけました。
私が選んだおすすめ度二重丸のテーマは、無料テーマではLuxeritas、有料テーマではSWELLです。
次点は、無料テーマCocoon、有料テーマSTORK19ですね。
当然ですが私の私見と偏見も入っています(笑)。
今回の結果をみて、私自身、次に新しくつくるサイトにはSWELLを使ってみようかな、と思いました。
実は、個人的には2年前からDIVERを使ったアフィリアエイトサイトを複数持っているので、DIVERに二重丸をつけたいところでしたが・・・。もちろん実績的には、DIVERも稼げるテーマです。
というか、今回あげたテーマは、過去の実績から見ればどれを選んでも甲乙つけがたいでしょう。
ただ、今回評価をした一番の気づきは、無料テーマでも十分〇や◎がつくテーマがある中、今からせっかくお金を出して買うのであれば、単なる見た目だけで選ぶともったいない、と感じたことです。
もちろん、使い勝手や好きなデザイン、使いたい機能なども総合的に考慮してテーマは選定すべきです。
特に自分がメインで使うエディターがクラシックエディターなのかブロックエディターなのかは重要ですね。
JINやAffinger5、DIVERなど、過去から実績のあるテーマはクラシックエディターが推奨となっていてブロックエディターは使いにくいです。
私はブロックエディターの便利さに慣れてからはもはや戻れないと感じていますので、ブロックエディター完全対応のテーマでないと選ばないでしょう。
そういう意味でも、Luxeritas、Cocoon、SWELL、STORK19はおすすめかな、と思います。
ぜひあなたのテーマ選びの参考にしてください。