初めてのワードプレス 始める前に知りたいしくみと準備(サーバー・ドメイン・SSL化)
ワードプレスを始めてみたい。でも、
『ワードプレスって準備が大変そう』
『サーバーとかドメインとか、難しそう』
『なぜサーバーなんか必要なの?パソコンにインストールしないのはなぜ?』
なんて、わからないことだらけで始めるのを諦めてしまっているんじゃないでしょうか?
大丈夫です。本記事では、そんなあなたの疑問にお答えします。
・ワードプレスってどんなものか(普通のホームページとの違い)
・ワードプレスの動作のしくみからサーバーが必要な理由
・ワードプレスに必要な環境の準備
といった基本的なことをまずはざっくり知ることができます。
準備方法の詳細については、準備の各説明のところで紹介します。
※本記事は、情報の更新を兼ねて2021年8月29日にリライトしました。
そもそもワードプレスとは
ワードプレスは、CMS(Content Management System)の一種です。
CMSというのは、専用ソフトや専門言語を使う事なく、ブラウザから専用管理画面にアクセスして、簡単にWebサイト(ホームページ)の制作・更新することができるシステムです。
Webサイトを制作してインターネットで公開するまでのフローの比較は以下の通りです。
ワードプレスは元々ブログ用のCMSとして開発されました。
なので、ブログ記事のように毎日のようにつくって公開する、といった使い方ができるだけ簡単にで行えるよう工夫されています。
とはいっても、ワープロソフトでも使い方を学ぶ必要があるように、ワードプレスもそれなりに使い方をマスターする必要があります。
また、単にブログ記事を制作するだけでなく、
・ビジネスに使う本格的ホームぺージ型のwebサイト
・会員制サイト
・商品販売などのLP(ランディングページ)の制作
などもできるようになっています。
このように、学べば学ぶほどに使い方には深みがあることも人気の要因であり、逆に難しい面もあるでしょう。
ワードプレスのシェア
ワードプレスはPHPというプログラミング言語で記述されたシステムなのですが、そのシステム内容がOPENソースとして無料で公開されています。
そのため多くのデザイナーやエンジニアによって、デザインテンプレート(ワードプレスでは”テーマ”と呼んでいます)や拡張機能(”プラグイン”といいます)が提案されて、どんどん人気になり、シェアも今では世界のWebサイトの40%以上を占めるにまで利用されるようになりました。
次のグラフは、W3tech.comで公開されているWebサイトのCMSのシェア推移です。
ワードプレスは2021年8月29日現在42.5%のシェアということがわかります。
ワードプレス以外のCMSでは、Shopifyが3.9%ですから、ダントツだということですね。
ワードプレスはWordPress.orgを使おう
実はワードプレスには2種類あります。
試しにネットで”WordPress”と検索してみれば、
の2種類があることに気づくでしょう。
どちらもワードプレスであることは間違いはなく、この2つのワードプレスの両方を合わせたシェアが先に示したワードプレスのシェアとなります。
WordPress.comというのは、会員制です。
アメーバブログなどの会員制のブログサイトと同じように、会員になれば自分のワードプレスサイトを得ることができます。
無料会員でもスタートできますが、無料のままだといろいろと制限がありますので、実際にビジネスに活用とするならば、有料コースでアップデートする必要があるでしょう。
しかし、一般に日本でワードプレス、といえば、”WordPress.org”のことです。
ですので、この記事(というかこのウェブチルサイト)で取り上げるワードプレスもWordPress.orgのことですので注意しましょう。
WordPress.orgのサイトにいけば、ワードプレスのシステムを無料でダウンロードすることができます。
でも、ダウンロードしたワードプレスはパソコンにインストールして使う、のではなく、サーバーの中にインストールして使う必要があるのです。
ちなみにサーバーというのは、インターネットにつながったコンピューターの一種です。
このあたりの話になると、難しくて理解不能・・・なんてことになりますよね。そもそもサーバー、なんてなじみがないし、IT関係の仕事以外の一般人は使わないし、て。
大丈夫です。次の”インターネットのしくみ”以降で順番に説明していきます。
ここで、理解しておきたいのは次のことです。
あなたが借りたサーバーでワードプレスを使うことによって、あなた自身が運営するWebサイトを手に入れることができる
アメーバブログやはてなブログなどのように会員制サービスを使ったwebサイトだと、なんらかの理由で会員でなくなると使えなくなります。
会員制のサービスを使っていてよく問題になるのが、会員規則の問題です。
広告を使えなくなったり、使えても突然制限がかかったり・・・。
自分のWebサイトならこのようなリスクはありませんよね。
だから本気でビジネスに活用したり稼ぎたいならば、会員制サービスの無料ブログなんかを使うのではなくワードプレスで自分のwebサイトを手に入れるのがいいんです。
インターネットのしくみ
webサイト(ホームページ)は、サーバーの中にデータの形で存在しています。
すでに説明したように、サーバーというのはインターネットにつながっているコンピュータの一種です。
インターネットをブラウザ(Google ChromeやSafariなどのソフト)で閲覧するには、サーバーに対してブラウザからリクエストを送ることで、目的のデータをサーバーから送ってもらいます。
①ブラウザからリクエストを送信(目的のWebサイトへアクセス)
②サーバーでリクエストに応じてデータを抽出
③データをHTML形式で送信
④ブラウザで閲覧
なので、あなたがワードプレスに限らずwebサイトを持とうとするならばサーバーが必要だということなんですね。
あともう一つ、”ブラウザが表示するためにはデータがHTMLという言語で記述されている必要がある”、ということも頭に入れておいてください。
だから、サーバーからブラウザに送信されるデータはHTML形式なんですね。
では、なぜワードプレスはサーバーにインストールして使うのかを説明していきます。そのためには、ワードプレスのしくみを若干知る必要があります。
静的Webサイトとワードプレスサイトとの違い
ブラウザがWebサイトを表示するためにはHTMLデータを受け取る必要があるわけですが、実はサーバーには、サイトの情報として、データが最初からHTML形式のデータで準備されている場合とそうでない場合があります。
最初からHTML形式のデータが準備されている場合を静的Webサイト、そうでない場合を動的Webサイトといいます。ワードプレスは動的Webサイトです。
- 静的Webサイト・・・HTML形式でサーバーにデータ保管されている
- 動的Webサイト・・・非HTML形式でサーバーにデータ保管されている
(ワードプレスは動的webサイト)
静的Webサイトの場合
静的Webサイトでサイトを閲覧するしくみは単純です。サーバーの中にはすでにHTMLデータが準備されているので、それを抽出してサーバーから送るだけです。
- ブラウザからリクエストを送信(目的のWebサイトへアクセス)
- サーバーでリクエストに応じたページのHTMLデータを抽出
- 抽出したHTMLデータをブラウザに送信
- ブラウザで閲覧
ワードプレス動作のしくみ(動的webサイト)
では、ワードプレスのように、サーバーに準備されているデータがHTML形式でない場合はどうでしょうか?
ワードプレスの場合は、ページを構成するデータは、部品としてサーバーの中のデータベースというところに格納されているのです。
ページを構成するデータの部品というのは、代表的なwebページの場合、次のように大きく4つの部分で構成されるでしょう。
・ページの頭のヘッダーと呼ばれる部分
(ページのタイトルとかロゴが表示されます)
・ページのメインとなるコンテンツ部分
(ブログ記事だったら記事の部分ですね)
・メインコンテンツ横に表示されるサイドバーの部分
(ブログ記事ならば記事のカテゴリーや最新記事、人気記事なんかを表示します)
・ページの一番下のフッター部
(copyrightを表示したり、サイトによってはロゴやサイトマップを置いたりします)
これらがデータべースというデータ格納庫に入っているわけです。
(実際はもっと細かく分かれています。例えばブログ記事なら”タイトル部”、”記事部”、”URL部”・・・のように)
でも、ブラウザで表示させるためにはHTML形式のデータが必要ですから、これらのデータを集めてきてHTML形式に直してやる必要があります。これがワードプレスのしくみです。
- ブラウザからリクエストを送信(目的のWebサイトへアクセス)
- サーバー内のワードプレスが働いてデータベースのデータを抽出しHTMLデータを作成
- 作成したデータをブラウザへ送信
- ブラウザで閲覧
ワードプレスというシステムの仕事は、上の②の部分です。
この②の仕事を迅速にこなすためには、ワードプレスはデータベースと同じサーバーの中で動く必要があるのです。
もしワードプレスが遠く離れたパソコンの中にあるとすると、インターネットを介してデータベースにアクセスすることになるので、ものすごく動作が重く遅くなってしまうでしょう。
だから、ワードプレスはサーバーの中にインストールして動かすしくみとなっているわけですね。
そして、サーバーの中で動かすことができる代表的なプログラミング言語のPHPでワードプレスは記述されているのです。
ワードプレスに必要な環境準備
ここまで理解できたら、具体的な準備の方法を紹介しましょう。
必要なものとしてまずはサーバーとドメインがあります。
webサイトを家に例えるとわかりやすいです。。
このように、
- サーバーを準備する(土地を準備)
- ドメインを取得する(住所を取得)
- ワードプレスをインストールする(家を建てる)
というのが大まかな手順となりますが、セキュリティを上げる目的でドメインのSSL化というのも必要となります。
以下概要を説明していきますが、すぐに具体的にワードプレスの準備をしていきたい場合は次の記事の詳細手順を参照ください。初心者へのおすすめはさくらサーバーまたはカラフルボックスです。
さくらサーバーを使用する場合
カラフルボックスを使用する場合
サーバーを準備する
つぎの2通りありますが、通常は①の方法です。
①外部サーバーを準備する(レンタルサーバーと契約する)
ネット上のレンタルサーバー会社と契約して、サーバーをレンタルします。一部法人で大規模なサイトを運用している場合は、レンタルサーバーを使わず自前でサーバーを準備しているところもあります。
私のおすすめは次の3つです。
1.老舗で安定した動作と低コストで人気のさくらサーバー。
さくらのレンタルサーバ
2.高スペックや使い勝手から個人アフィリエイターなどに人気のエックスサーバー。
エックスサーバー
3.高機能なクラウド型のサーバーでありながら、従来サーバーと同等の価格で利用できるカラフルボックス。
カラフルボックス
『低価格で運用実績十分のさくらのスタンダードプランで気軽にワードプレスを始めてみて、
サイトの規模やアクセスによってはエックスサーバーに引っ越す』
というのが以前の私のおすすめプランでしたが、最近はカラフルボックスがおすすめです。
さくらスタンダード相当の低コストプランと
エックスサーバー相当の高機能プラン
の両方があり、それぞれ自由にアップグレード・ダウングレードできるからです。
次の記事ではカラフルボックスを紹介しています。
さくらのスタンダード、エックスサーバーのX10プランとの比較もありますので、
参考にしてみてください。
②仮想サーバーをパソコン内に設置する
XAMPPやMAMPなど、仮想サーバーをパソコン内に設置するという方法もあります。
当然、外部に公開するためのサイトではなく、開発段階のサイトや練習用に使うためのものと考えてください。
すでに公開して運用しているサイトを大幅リニューアルしたい場合などは、運用中のサイトに不具合が発生しては困りますので、こういった開発環境でサイトを準備して動作チェックしてから入れ替える、という使い方をします。
ドメインを取得する
ドメインというのはURLの中核になる部分で、
URLが、https://example.com/の場合なら、example.comというのがドメイン名です。
〇〇.comのほか、
日本の企業サイトなら〇〇.co.jpや〇〇.jp、
そのほか、〇〇.bizや〇〇.org、〇〇.netなどもあります。
実は、レンタルサーバーと契約した段階で初期ドメインが決まります。
さくらサーバーならば、契約したあなたのURLがhttp://〇〇.sakura.ne.jp/となります。
あるいは、プランによってはサーバー契約するときに、〇〇.comのように契約する場合もあります。
〇〇の部分はサーバー契約するときに自分で登録する任意の名前で、〇〇.sakura.ne.jpというのが、さくらサーバーから与えられた初期ドメイン名です。
サーバー内にワードプレスをインストールするときには、このドメイン名の後ろにサイトに関連する名前を付けます。
例えばexampleという名前にすると、http://〇〇.sakura.ne.jp/example/がワードプレスをインストールしたサイトのURLとなるわけです。
でも○○.sakura.ne.jp/example/をURLにすると、まるでさくらサーバーの関連サイトかのように見えてしまいますよね。
したがって、サイトとしての格や信頼度、認知度を上げるためにも独自のドメインを別途取得した方がよいわけなんです。
そこで、ビジネスサイトやアフィリエイトサイトを立ち上げるときには、自分のビジネスと関連性のある独自のドメイン名を取得するのがよいでしょう。
ただし若干のお金はかかります。ドメイン名や取得する時期によってその価格はいろいろですが、年間500~3000円くらいです。
もちろん、単なる練習や趣味の範囲でサイトを立ち上げたい場合は、初期ドメインのままワードプレスをインストールしても構いません。
独自ドメインの取得は、お名前.comが有名です。私もここで、当サイトを含めていくつかのドメインを取得しています。
なぜお名前.comを使用するのかは以下の記事を参照ください。独自ドメインを取得する手順も紹介しています。
ワードプレスをサーバーにインストールする
サーバーへのインストールの方法は、各レンタルサーバー会社によって異なりますが、各サーバー会社が簡単インストールの方法を準備しています。
ただし、あまりに安いプランの場合は、ワードプレスがインストールできない場合もありますので事前に確認しましょう。
もちろん、エックスサーバー(x10プラン)、さくらサーバー(スタンダードプラン)、およびカラフルボックスは、ワードプレスの簡単インストールに対応しています。
SSL化
SSL化というのは、通信データの暗号化処理をすることでサイトのセキュリティや信頼性を上げる効果があります。
SSL化されていないサイトのURLはhttpで始まりますが、SSL化されているサイトはhttpsから始まります。よく見ますよね。
従来は、銀行サイトへのログインや、ECサイトなど、限られたページしかhttps化されていませんでしたが、現在は、Googleが推奨していることもあって、普通のサイトでもhttps化するのが当たり前となりました
Googleが推奨している通りにした方が、SEO上も有利と考えられるからです。
SSL化にはお金がかかるのが通常ですが、エックスサーバーやさくらサーバー、カラフルボックスでは無償でSSL化できるサービスがあります。ワードプレスをインストールするときに、同時にやってしまうのがよいでしょう。
さくらサーバーへのワードプレスインストール方法(独自ドメイン かつ SSL化含む)については、次の2つの記事を参考にしてください。
カラフルボックスへのワードプレスインストールの方法は以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
ワードプレスのしくみをざっくりでも把握して、なぜサーバーが必要なのか、ワードプレスのしくみって?
などを理解することは、初めてワードプレスに触れる方が今後サイト構築・運用をしていく上でも大切なことだと思います。
単に手順書だけを追っていくのでは何か変更になったときに全く何のことかがわからず、調べてみても答えが理解できないからです。
ワードプレスは非常に拡張性が高く便利ですが、自分でサーバーという土地を借りて、自分でドメインという住所を取得し、その上で、ワードプレスサイトという家を建てていく、といった自己責任が必要とされます。
でも、こういったITリテラシーを学ぶことは、今後Web社会を生きていく上で大切なことだと思います。